偏見と独断で選ぶ、夏に読みたい小説7冊

2019年8月11日

暑い夏。アウトドアに縁がない、というより夏に好んで外出する気なんて毛頭ありません。そこで、同じような人やアウトドア派だけどたまたま予定がない人、たまには涼しいところでのんびりしたい人に、夏読みにオススメの小説を考えてみました!


※この記事は2017年に一度ブログで公開し、ドメイン失効→サルベージ→別ドメインにて加筆修正の上復活させた過去記事です。

ホラー、ミステリ、冒険モノ、青春モノという分け方をしています。あ、先に言っておくと青春モノは友情や部活などの青春です。恋愛モノはありません。恋愛がチラッと入ってるものもありますが、どちらにせよ恋愛がメインではないです。私のオススメで恋愛モノは基本ありませんのであしからず。

番号振ってますが特に順番は面白さに関係ありません。

ホラー系

夏といえばホラー!ホラー系って、人間的な怖さとオカルト的な怖さの2つがありますよね?私は人間的な怖さは苦手なのですが、これはうっかり手にとってしまって震えながら読んだ記憶があります。

1.小野不由美『黒祠の島』

小野不由美 (著)

ざっくりあらすじ

主人公は調査会社の男性。親しくしていた女性作家が行方不明になり、彼女の故郷である「夜叉島」に赴きます。閉鎖的なその島では情報を得ることが難しく、しかし異様な「なにか」を感じてそこに留まる主人公。その島の人間や島自体に不信感を感じた彼は、調べていくうちにその島の核心へと近づいていく。

余談

小野不由美さんといえば十二国記やゴーストハント(前・悪霊シリーズ)ですが、私が「怖っ!」と震えたのはこの本でした。もういつ読んだのかも定かじゃないですが、小・中学生が読むような本ではなかった気がする。怖い怖いと思いつつも、時々読みたくなるという不思議……

ミステリ系

2.西澤保彦『麦酒の家の冒険』

これを夏小説に入れていいものかと悩みましたが、夏にビールを飲みまくる小説なので、なんとなく夏のイメージが強いんです。

タカチ&タックシリーズの第2作品目。とはいえ事件としては繋がっていないのでここからでも読めるはず。

ざっくりあらすじ

大学生の男女4人がガス欠でたどり着いた無人の民家は、なんとベッドと冷蔵庫、それもビールのみがたんまりと詰め込まれた冷蔵庫のみの不思議な家だった。無断でビールをがんがん飲みながら、その家の謎を解きあかそうとする4人のひと夏のお話。

3.京極夏彦『姑獲鳥の夏』

これをミステリと言って良いのか幾分疑問が残りますが、やっぱりこれは外せない。映画化もされていましたね(見てないけど)。京極夏彦の代表作京極堂シリーズあるいは百鬼夜行シリーズの第1作目。

文庫本が1998年に出版(新書?がおそらくその前に出ているかと)、2005年に新装版文庫、2012年に電子書籍化と、長く人気がある作品です。単なるホラーやミステリ、妖怪モノだと思うなかれ。脳科学や東洋思想など知識の海が広がります。じっくり腰を据えて読みたい反面、軽い読み物を求めている人には向かないかと。

ざっくりあらすじ

小説家の関口が拝み屋の京極堂(屋号だがあだ名)を訪ね、遠寺家の奇妙な噂について意見を求めます。久遠寺牧郎は関口らの知り合いだが、久遠寺梗子との結婚後しばらくすると行方不明に。さらに何度も起こった嬰児死亡と憑き物筋の呪い。そして関口が京極堂に訪ねた「二十箇月もの間子供を身籠っていることができると思うか」という謎。

拝み屋・京極堂がそれらの闇である憑き物を落とすお話。

青春系

4.伊坂幸太郎『砂漠』

大学生という身分、その時間は砂漠の中のオアシスなのではないか。

伊坂幸太郎 (著)

大学に入学して知り合った5人の男女の学生達が仲良くなり、犯罪に巻き込まれたり超能力に遭遇したりして学生生活を送っていく青春小説。伊坂幸太郎ファンではない人に是非オススメしたい1冊です。

私は伊坂幸太郎の本はそこまで多く読んでいないのですが、それでも砂漠は作者の書く他のミステリ系とは一線を画すものかなと思いました。あまり推理やミステリがメインではなく、ラストも「やられた~!」感はそこまでない。しかし「これこそが青春」というような爽やかな後味が最高。

5.あさのあつこ『ガールズブルー』

あさのあつこ (著)

ざっくりあらすじ

偏差値の低い高校に通う少年少女。誕生日を前にして彼氏に振られた理穂と、生まれつき体が弱く入退院を繰り返す美咲、天才野球選手の兄と比べられ劣等感いっぱいの如月。彼らを中心とした、なんてことない日常の1コマを切り取った青春群像劇。

ストーリーらしいストーリーはないものの、ほんのり物悲しくなる17歳の夏のお話。登場人物たちと同年代よりも、20歳以上、もしかしたら25歳以上の人にオススメしたい1冊。大人になってから高校生の頃を思い出したい人に読んでほしい青春らしいお話です。

6.恩田陸『蛇行する川のほとり』

恩田陸ファンの中では、彼女の書く少年少女ものは外れないという共通認識が(割と)あります。蛇行する川のほとりは、少女たちの最後の夏のお話。こう言うと少女たちが死ぬみたいですが、そうではなく少女が「正しく少女である」時間が終わるまでのお話です。別にエロい話でもありませんw

ざっくりあらすじ

女子高生の鞠子は、美術部の美しい憧れの先輩・香澄と芳野に、夏休みに香澄の家で演劇の舞台背景を描く「夏合宿」をしないかと誘われます。2人に憧れている鞠子は二つ返事でOKを出しますが、訪れた香澄の家には、遠い夏に起こった事件とかつて鞠子が封印していた苦い記憶が眠っていました。

冒険モノ系

7.恩田陸『上と外』

ざっくりあらすじ

いつも通りの夏休みに起こった、いつもとは違うひと夏の冒険話。主人公・練は数年前に両親が離婚し、父親と暮らす中学生の少年です。離れて暮らす母親と妹に会えるのは、毎年全員が集う夏休み。考古学者である父がいるG国に集まりました。

いつも通り、離れて暮らす家族と再会し束の間の家族団欒……になると思いきや、両親は不穏な雰囲気。そしてG国では軍事クーデターが起こり、練と妹の千華子はヘリコプターが傾き外へ投げ出されてしまいます。どうにか神殿へとたどり着いたのも束の間、ニコと名乗る少年に千華子は人質に取られ、練はニコや他の少年達と一緒にある「儀式」に参加させられることに。

おわりに

夏の小説、あるいは夏っぽい小説って何かないかな~と考えた結果、こんな感じになりました。キリよくベスト10くらいにしたかったのですが、なかなか思いつかず……何か思い出したらor新しく良いの読んだら追記したいと思います。

夏にオススメの作品ある方は是非教えてください!ノンフィクション系以外なら結構なんでも読めます。

Posted by おとみね